豪ドルに再び注目の秋
欧州は天然ガスを冬に向けて在庫を積み増しができていない状況です。逼迫懸念から上昇トレンドにあると思います。原油も8月3日OPEC+ではどちらの顔も立てるとしても、長年関係を築いてきた露への配慮もあるはず。そして中が党大会を控え来年度予算を使って、景気を盛り返してくるとすると、景気減速懸念で下がった原油がどうなるか。穀物価格も豪雨やラニーニャなど気候による供給懸念から、秋以降また投機的な買いが入る可能性があると言う専門家の予測も気に留めたいところ。
ドル全面高が反転するとき、経済の強い資源国通貨は上昇トレンドになると思います。目先は米ドル安につられ豪ドルも安くなっていますが。米長期金利が2.5%以下になるかと言うとどうでしょうか。
さて、豪の消費者物価指数は+4.6%、失業率は3.5%、賃金も強くまだ伸びしろがある様です。人口増加による個人消費の増加が 内需拡大を牽引、個人の消費も強くGDP成長率は前年比+3.3%です。数値からも経済の強さが見て取れる豪。政策金利は年初、利上げは1年後を予定していたのに、前倒しで1.85%も上げて来ました。
世界が政策金利を見直しインフレと向き合う中、日本銀行は4~6月の国債買い入れを、更に増額してきました。『金融緩和を粘り強く継続することが最重要』とのことで、調整がありつつも120円を割ることはなく円安トレンドは継続すると感じます。日本との金利差は広がる一方で豪ドル年内に100円突破するのでは?と3月から見ています。
中ロックダウンにより上値が重い展開が続いて来ましたから、今後も短期では小動きがあると思われます。
しかしオーストラリアも資源価格や生活物価はもちろん、住宅価格も上がっています。そして賃金もしっかり上昇しています。これだけインフレが高騰しつつも(図を参照↓)、実体経済が追いついて来ていることを加味すると、豪ドルは底堅い強さになると思います。
また住宅ローン利用者23~33歳の若者層でも(全体の中央値が33歳)、住宅ローン返済への遅れや破綻リスクも依然として少ない状態です。住宅価格が上昇していても、それに伴う経済力を国民が得ていることからも経済の強さを感じます。日本人の平均年収+100万程度で為替差益も考えると、日本では考えられない豊かさだと感じます。これが資源国とそうでない国の違いなのでしょうか。3月から豪中銀が公表している原文を読んでいて、日本経済との差に驚くばかりです。
ですが、もちろんリスクもあります。インフレを押し上げてきた住宅価格に加え、商品価格の急激な上昇が更にインフレを押し上げ、経済成長を抑圧する可能性を懸念するレベルであったことも事実です。企業の倒産リスクは非常に低いレベルではあるものの、増加していました。今は世界中がインフレで、世界で実際の可処分所得が減っているけれど、賃金指数+3%目標に置いている豪。目標までそう遠くないと感じます。一方で貸付金利も低く、若年層も住宅ローンを利用しやすい。しかしインフレにより生活コストが上昇することで、低所得者の返済を困難にする可能性もゼロではありません。住宅ローンの金利が低いことを利用して、不動産投資で高いレバレッジをかけている人もいるので、ここが物件を売りに出し受給バランスが崩れた場合、不動産価格が下落し金融市場にも波及する可能性があるかと。さすがに中国広大問題みたいなことはないと思いますし、米の様な利上げでレバレッジが焼き尽くされて悲惨なことになるということもない様です。先に住宅ローンで述べた様に、23歳〜33歳と借入開始年齢が若いので実物資産に価値を置いていることも理由としてあると感じます。
世界有数の資源輸出国であるオーストラリア。指数ASX200も、今年の下げ相場と比べるといいチャートを形成していると思います。
※RABの開示している市場調査結果を和訳し、一部抜粋しました。原文も転載しています。
参照元↓
investing.com
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